概要
Microsoft 365には複数の認定資格が存在します。MS-900は、その中でもMicrosoft 365の基礎を理解していることを証明する資格です。この記事では、MS-900の取得に向けた実効性のある試験対策を、具体的かつ実践的に解説します。
はじめに
多くの企業でMicrosoft 365が導入されている昨今、情シスではシステムの保守・運用のためにMicrosoft 365の知識が欠かせなくなっています。私の会社ではCopilot for Microsoft 365の導入を検討中で、Microsoft 365関連のセキュリティへの知識が必要になってきました。
先日、Microsoft 365の基礎知識を問われるMS-900の試験を受け、922点でかなり余裕をもって合格することができました。この記事では、私の試験勉強の方法や、実感のこもった試験対策のコツを紹介できればと思います。日本語の情報があまりない資格ですので、この情報がみなさんの受験の準備に貢献できれば幸いです。
2023年9月、日本語でMS-900を取得する方法はかなり簡単になりました。
MS-900とは?
MS-900は、Microsoft 365の基本的な知識を証明する試験です。この試験では、クラウドベースのサービス、Microsoft 365のサービスと概念、セキュリティ、コンプライアンス、プライバシー、信頼性の理解が問われます。
初級試験なので、難易度は低め。ただし、試験範囲が広いので、しっかり対策した上で学習しないと知識を身につけられません。
試験内容
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クラウドの概念を説明する (10~15%)
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Microsoft 365 の主要なサービスと概念について説明する (30~35%)
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Microsoft 365 のセキュリティ、コンプライアンス、プライバシー、信頼について説明する (30-35%)
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マイクロソフト 365 の価格とサポートについて説明する (20-25%)
効果的な勉強法
日本語の学習資料がMicrosoft Learnくらいしかなかった厳しい資格でしたが、参考本の登場により学習がかなり楽になりました。
無料のリソース
Anki
最強の暗記アプリ。問題と答えを用意すれば、忘却曲線に従って科学的に最適なタイミングで復習することができます。試験の準備にぴったりです。
↓Ankiの活用イメージです。上が問題文、下が回答。楽に答えられれば数日後に復習、そうじゃなければ10分後…など、復習のタイミングを選ぶこともできます。
Microsoft Learnのラーニングパス
どのブログでも紹介されている、安心と信頼の公式学習リソースです。無料かつ内容が充実しており、Microsoft流の微妙な日本語訳になれることもできるので、試験対策にぴったりです。
- MS-900 Microsoft 365 の基礎: Microsoft 365 のアプリとサービスについて説明する
- MS-900 Microsoft 365 の基礎: Microsoft 365 のセキュリティとコンプライアンスの機能について説明する
- MS-900 Microsoft 365 の基礎: Microsoft 365 の価格、ライセンス、サポートについて説明する
Microsoft公式の模試
Microsoft流の翻訳になれるのに最適。試験を受ける1週間前から何度かトライし、最終的に8割取れるようになれば試験の準備は万全です。
ExapTopics
本番の試験とまったく同じ内容の問題がたくさん掲載されている、英語のサイトです。ブラウザのページ翻訳機能を使えば、大量に問題を解くことができます。
2023年9月まではかなり有力な学習リソースでした。
有料の学習リソース
参考書 MCP教科書 Microsoft 365 Fundamentals(試験番号:MS-900)
2023年9月に出版された、翔泳社の参考書です。マイクロソフト認定トレーナーの方が書いている本ですが、正直言って、学習教材としては微妙。Microsoft Learnと比べると内容がかなり薄いです。
しかし、絶対に買うべき教材だと思います。なぜなら、練習問題やダウンロードコンテンツの模試・ボーナス問題の内容が、ExapTopicsの日本語翻訳版だからです。要するに、この参考書に掲載されている問題は、そっくりそのままMS-900の本番問題として出題されます。合格するだけなら、問題と答えをセットで暗記すれば100%合格できます。究極の試験対策と言えるでしょう。
ChatGPTのGPT-4
ChatGPTの有料プランで利用できるGPT-4は、IT関連の疑問・質問に何でも答えてくれる優秀な学習ツールになります。職場では誰かに質問するのが億劫になってしまう人でも、相手はAIなので何度同じことを聞いても優しく返答してくれます。
私は、Ankiと組み合わせた以下の使い方で知識を定着させました。このやり方はあらゆる試験の対策に応用できます。
- Microsoft Learnの記載内容や参考書の練習問題のわからないところを質問する
- わかりやすく解説してもらう
- 2.の内容をクイズにしてくれるGPTsを作成し、大量の練習問題を自作する
学習計画の立て方
参考書を活用するかどうかに関わらず、毎日1~2時間程度の学習を2~3週間程度続ければ合格できます。Microsoft Learnのボリュームはそれなりに多いですが、毎日少しずつこなしていけば準備は整います。
私の勉強スケジュール
資格勉強をはじめてから3週間で試験を受け、合格しました。以下は私が実践した勉強スケジュールです。
第1週:知識をなぞる
Microsoft Learnのラーニングパスを流し読み。ボリュームが多いので、1週間かけて問題ありません。
第2週:練習問題を解く(1週目)&知識なぞり2周目
参考書の練習問題を解きます。わからないことはChatGPTに解説してもらい、クイズを作ってもらいましょう。
間違えてしまった問題と、ChatGPTに作ってもらったクイズをAnkiに登録し、毎日解きます。忘却曲線に従って復習できるので、効率的に知識を定着させることができます。
問題を解いてもわからないことがあれば、Microsoft Learnを読み直します。おそらくわからないことが大量にあるはずなので、Microsoft Learnの内容をChatGPTにコピペしてクイズを作ってもらい、Ankiに登録して何度も解くと効率的です!
第3週:練習問題を解く(2周目)&知識なぞり(3週目)
第2週に繰り返し問題を解き、いまいち理解できていないことが何なのかを把握できたはずです。第3週は、そこを徹底的に潰していきます。
参考書の練習問題を再び一周し、また間違えてしまった問題をAnkiに再登録して二重復習できるようにしましょう。まだわからないことがあれば、Microsoft Learnを読む+ChatGPTでクイズ化を繰り返します。
参考書のダウンロードコンテンツに模試とボーナス問題があるので、試験の5日前から解き、間違えた問題はAnkiに登録して効率的に復習!
試験当日
ピアソンVUEのテストセンターで試験を受け、922点で合格しました。上記の試験対策で十分な知識を身につけ、準備ができたのだと思います。それにしても、参考書の問題がそっくりそのまま出てくる率の高さは驚いた…。
合格すると、Microsoft Learn プロファイルに合格した認定資格のバッチが表示されます。
まとめ
MS-900資格の取得は、Microsoft 365の基本を固め、IT分野でのキャリアをさらに発展させる素晴らしいステップです。計画的かつ実践的なアプローチで、この挑戦を乗り越えましょう。資格取得の旅は決して簡単ではありませんが、準備と努力で必ず成功を手に入れることができます。
…まあ、合格するだけなら参考書を活用すれば簡単です。ただ単に資格コレクションを追加したいだけでなく、実際の業務で知識を活用するにはMicrosoft Learnが一番です。
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