はじめに
IT業界には様々な資格が存在しますが、現在の業務や将来的なキャリアを考慮した資格勉強が必要です。情シスで働く人の場合、IPAの基本情報技術者試験・応用情報技術者試験などの汎用的な内容の知識が問われる資格から、プロジェクトマネージャー試験やシステムアーキテクト試験といった高度で専門性の高い資格、そしてベンダ資格が取得の視野に入るでしょう。
そのベンダ資格の中に、Microsoft認定資格があります。この記事では、その中でもMicrosoft 365全般の知識が問われる初級資格「MS-900」に注目し、資格勉強や試験合格が情シスでの仕事にどのようなメリットをもたらすかを説明します。
MS-900とは?
MS-900「Microsoft 365 Fundamentals」は、Microsoft 365の基本を網羅する資格です。クラウドサービス、セキュリティ、コンプライアンス、そしてMicrosoft 365の各種サービスと機能について学びます。
私の資格合格までの道のりを以下の記事にまとめているので、ぜひご覧ください。
試験内容
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クラウドの概念を説明する (10~15%)
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Microsoft 365 の主要なサービスと概念について説明する (30~35%)
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Microsoft 365 のセキュリティ、コンプライアンス、プライバシー、信頼について説明する (30-35%)
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マイクロソフト 365 の価格とサポートについて説明する (20-25%)
MS-900は情シスでの仕事に役立つか?
結論から言うと、情シスでの仕事に役立つ部分は多いです。ただし、これは私のような情シスでの業務経験が少ない若手くらいでしょう。
情シスでの経験を積んだSEであれば、資格の勉強をしなくても経験則として身についている知識や勘で仕事を十分にこなせるはず。資格勉強がすぐに業務で活かされることもレアケースではないか、というのが私の肌感覚です。
ただし、これから企業の導入事例が増えていくであろうCopilot for Microsoft 365は、MS-900の学習が確実に活きる分野です。
Copilot for Microsoft 365:セキュリティとコンプライアンス
MS-900に合格するためには、Microsoft Defender XDRの全般的なサービスやMicrosoft Perviewやサービストラストポータルなどのコンプライアンス系の知識を幅広く身につける必要があります。
個人的に、これからの情シスで特に活きてくるのはコンプライアンス系の知識だと思ってます。私が業務で扱っているCopilot for Microsoft 365は、まさにその一例です。
WordやExcelでCopilotを使えるCopilot for Microsoft 365では、Microsoft 365上に格納されているファイルでCopilotを使う上で、個人情報や社外秘情報などを考慮したファイルの識別が必要になります。何でもかんでもCopilotを使っていいわけではなく、例えば個人情報が含まれるファイルで生成AIを使うのは多くの企業でご法度ですし、設定次第でファイルの情報がBingへ検索クエリとして流れる可能性があります。
Microsoftのゼロトラスト的にも、Copilot for Microsoft 365を活用する上で秘密度ラベルが極めて重要になることが強調されています。ファイルを適切に分類・保護することは、情報漏洩を防止する第一歩です。MS-900では、秘密度ラベルの知識を身に着けなければ確実な合格は難しいです。
こうしたケースは、MS-900の学習が情シスでの仕事に役立つ一例だと言えるでしょう。
MS-900試験勉強のメリットとは
MS-900は、若手が取得するべき資格です。Microsoft 365関連の体系的な知識を身につけることで、今後のキャリアを成長させていく基盤を身につけることができます。
現場でバリバリ活躍する先輩たちは、Microsoft 365の体系的な知識を持っていないことがほとんど。MS-900の内容を完全に理解できている人は稀です。
あなたが若手SEなら、MS-900での勉強をもとに大きく羽ばたいていくことができるはず。私もまだまだ若手ですが、この資格は「今ではなく、将来の展望を明るくするもの」だと思っています。
まとめ
MS-900は、今すぐに情シスでの業務に活かせる資格ではないかもしれません。しかし、合格を目指すために学習した内容が実際の業務にまったく登場しないわけではありませんし、Copilot for Microsoft 365のような最新のサービスを企業に導入する上で、その知識は活かされます。
MicrosoftはCopilotにとても力を入れており、情シスとしてもCopilotを完全に無視することはできなくなるかもしれません。MS-900の勉強を進めることで、その準備をしておきましょう。
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