概要
この記事では、暗記ツール「Anki」とAIの最先端技術「ChatGPT」を組み合わせた効率的な学習法をご紹介します。これらを駆使することで、どのように学習効率を向上させ、記憶力を強化できるかを探求しましょう。
はじめに
暗記ほど退屈な勉強方法はありません。同じ文章や公式を読み、書き起こしてみたり音読してみたり…。やる気のない暗記は効率も悪くなります。
でも、心配無用!AnkiとChatGPTの有料アカウントを上手く組み合わせれば、学習がもっと楽しく、効果的になります。
学習方法の概要
簡単な流れは以下の通り。
- IT関連の質問に答えてくれる質問用GPTsを用意する
- 入力した内容に基づいて知識定着のためのクイズを作ってくれるAnki用GPTsを用意する
- 勉強中にわからないことがあったら、質問用GPTsに質問する
- 質問用GPTsの回答をAnki用GPTsに食べさせてクイズを作る
- 作ったクイズをAnkiに登録して何度も復習する
Ankiの基本
Ankiはフラッシュカードを使った暗記ツールで、忘却曲線を活用した繰り返し学習により長期記憶を強化します。カスタマイズ可能なフラッシュカードで、必要な情報を効率的に記憶できます。
↓Ankiの使用イメージです。問題文と回答を登録し、簡単に回答できれば数日後、難しければ10分後…など、復習のタイミングを指定できます。
ChatGPTの有料版で利用できる「GPTs」
ChatGPTは説明不要でしょう。ChatGPTは会話型のAIで、質問に答えたり、情報を提供したりすることができます。
紹介する学習法で使うのは、自分用にカスタマイズしたアプリを作成できる「GPTs」という機能。
GPTs(GPT Builder)は、ユーザーが自分自身のChatGPTをカスタマイズし、特定の用途や好みに合わせて調整することができるツールです。これは、AI技術の民主化を一歩前進させるもので、一般の人々にも手軽に利用できるように設計されています。このツールは以下のような主要な特徴を持っています:
・カスタマイズ性: 自分だけの独自のChatGPTを作成することができます。これにより、特定のニーズや好みに合わせた対話型AIの体験が可能になります。
・利用のしやすさ: GPT Builderは直感的なインターフェースを持ち、技術的な背景がない初心者でも簡単に使用できます。
学習準備:GPTを2つ作成する
①質問用GPT「IT Helpdesk」
IT関連の応答に特化したGPTです。世界中にユーザーがいる人気アプリで、評判も上々。こんな使い方ができます。
ここでは、microsoft365の学習について質問します。
私は事業会社のIT部門で働いており、Microsoft365の管理者として自習したいです。あなたは初心者向けにわかりやすく解説してください。
Windows10および11のエディション、想定される利用環境、エディションの説明を説明してください。説明内容は表形式で出力してください。
Windows 10およびWindows 11は、いくつかの異なるエディションで提供されており、それぞれ異なるユーザーグループや使用シナリオを対象としています。以下の表は、主要なエディションとそれぞれの想定される利用環境、および簡単な説明を提供します。
エディション | 想定される利用環境 | 説明 |
---|---|---|
Home | 個人ユーザー | 基本的なコンピューティングニーズに対応。家庭での使用や日常的な作業に適しています。 |
Pro | 小規模ビジネスとプロフェッショナルユーザー | Homeの機能に加え、ビジネス向けの機能(リモートデスクトップ、ビットロッカーなど)が追加されています。 |
Enterprise | 大企業 | Proの機能に加え、IT部門がデバイスとアプリを管理しやすくするための高度な機能とセキュリティが提供されます。 |
Education | 教育機関 | 学校や教育機関での使用に最適化されており、Enterpriseエディションのセキュリティと管理機能を備えています。 |
Pro for Workstations | 高性能コンピューティングに対応するプロフェッショナルユーザー | 高度なデータ処理、大規模なストレージ、複雑な計算を必要とするプロフェッショナルな環境向けに設計されています。 |
Windows 10とWindows 11では、これらのエディションが基本的に同様の用途と機能を提供していますが、Windows 11ではシステム要件やUIの面で大きな変更があります。また、Windows 11では特定の新機能や改善点が導入されており、最新のハードウェアとの互換性やセキュリティ機能が強化されています。
どんな質問にも答えてくれる、ありがたい子です。
②Anki用GPTs
入力した内容をもとに試験対策用のクイズを作ってくれるGPTを作ります。
- ChatGPTにログインする。
- Explore GPTs→ウィンドウ右上の「+Create」をクリック。
- GPT Builderの指示に従って、希望に沿ったGPTを作ります。
GPT Builderが「What would you like to make?」と聞いてくるので、以下の通り回答してください。その後の応答は適当に。入力した内容をもとに、知識を定着するためのクイズを作成してほしいです。以下の指示に従ってください。また、GPT Builderの応答は日本語にしてください。
・クイズの形式は、選択問題と○×クイズ。
・選択肢は、おもわず間違えてしまうようなレベルの高い内容にする。
・会話を始める時に、作成するクイズの難易度を選択できる。
- GPTが完成。以下のようなやり取りができます。
これから入力する文章をもとに、クイズを複数作ってください。
了解しました。しかし、クイズを作成するためには、勉強しているIT分野と問題のレベルを教えていただく必要があります。
例えば、Azure、AWS、Microsoft 365などの分野と、初級、中級、上級などのレベルを指定してください。それに基づいて、適切な問題を作成いたします。
ジャンル:Azure
レベル:AZ-104の資格勉強レベル
了解しました。AzureのAZ-104(Microsoft Azure Administrator)の資格レベルに基づいて、選択問題と真偽問題をそれぞれ作成します。以下に例を示します。
選択問題
Azureで仮想マシンのスケールセットを設定する際、スケーリングの基準として一般的に使用されるのはどれですか?
a) ネットワークトラフィック
b) CPU使用率
c) ディスク入出力
d) メモリ使用量
解答: b) CPU使用率
解説: Azure VMスケールセットでは、CPU使用率、ネットワークトラフィック、ディスク入出力など多くの指標が使用できますが、一般的にCPU使用率がスケーリングの基準として広く使用されます。
真偽問題
Azure Active Directoryは、オンプレミスのActive Directoryと同じ機能をすべて提供します。
解答: いいえ
解説: Azure Active Directoryは、主にクラウドベースのIDおよびアクセス管理サービスであり、オンプレミスのActive Directoryとは異なる特徴と機能を持っています。例えば、グループポリシーの管理など、オンプレミスのADで利用可能な一部の機能はAzure ADでは提供されていません。
これらの問題がAZ-104の資格勉強に役立つことを願っています。他にも問題をご希望の場合は、お知らせください。
勉強には十分なレベルの問題ができそうです。この後、入力した内容に基づいたレベルの高いクイズをたくさん作ってくれるようになります。
AnkiとChatGPTを駆使した学習方法
以下の流れを実践しましょう。
- 勉強中にわからないことがあったら、質問用GPTsに質問する
- 質問用GPTsの回答をAnki用GPTsに食べさせてクイズを作る
- 作ったクイズをAnkiに登録して何度も復習する
勉強中にわからないことがあったら、質問用GPTsに質問する
例えば、AzureのNSGがわからないとします。IT Helpdeskに聞いてみましょう。
AzureのNSGがよくわかりません。わかりやすく教えてください。
AzureのNSG(ネットワークセキュリティグループ)は、Azureでネットワークレベルのセキュリティを提供するためのサービスです。NSGを使用すると、Azureの仮想ネットワーク内で実行されているリソースへのネットワークトラフィックを制御するためのルールを定義できます。これにより、特定のタイプのトラフィックを許可または拒否することで、リソースへのアクセスを管理し、セキュリティを強化できます。
NSGの主要な機能
1. インバウンドとアウトバウンドのトラフィック制御
NSGでは、インバウンド(入ってくる)トラフィックとアウトバウンド(出ていく)トラフィックのルールを個別に設定できます。
2. ルールベースのトラフィックフィルタリング
トラフィックのソースや宛先のIPアドレス、ポート番号、プロトコル(TCP、UDPなど)に基づいてフィルタリングルールを定義します。
3. 優先度の設定
ルールには優先度があり、数値が低いほど高い優先度を持ちます。この優先度によって、複数のルールがある場合の適用順序が決まります。
4. タグによるトラフィックの制御
特定のAzureサービス(例: Azure Load Balancer)に対するトラフィックを許可または拒否するために、サービスタグを使用できます。
NSGの利用シナリオ
VMへのアクセス制御: 特定の仮想マシン(VM)へのアクセスを制限するために、インバウンドトラフィックルールを設定します。
セキュリティ強化: 不要なトラフィックをブロックして、ネットワークセキュリティを強化します。
環境の分離: 異なるネットワークセグメント間でトラフィックを制御し、環境を分離します。
NSGの覚え方
「NSGはネットワークのドアの番人」: NSGを使用して、Azureのネットワークに入るまたは出るトラフィックを制御します。
「ルールでトラフィックをコントロール」: NSGはルールに基づいてトラフィックを許可または拒否します。
「セキュリティとアクセス管理のためのツール」: NSGは、Azure内のリソースへのアクセスを管理し、セキュリティを向上させるために使用されます。
NSGを適切に設定することで、Azure環境内のリソースへのアクセスを効果的に管理し、セキュリティを強化することができます。
わかりやすく解説してくれました。この内容をAnki用GPTに入力します。すると、次のような回答が返ってきます。
選択問題
Azureのネットワークセキュリティグループ(NSG)に関する次の記述のうち、正しいものはどれですか?
a) NSGはインバウンドトラフィックのみを制御します。
b) NSGルールではポート番号を指定することはできません。
c) NSGには優先度があり、数値が低いほど優先度が高いです。
d) NSGではサービスタグを使用して特定のAzureサービスへのトラフィックを制御できません。
解答: c) NSGには優先度があり、数値が低いほど優先度が高いです。
解説: NSGでは、インバウンドとアウトバウンドのトラフィック制御が可能で、ポート番号やプロトコルを指定してルールを設定できます。ルールには優先度があり、数値が低いほど高い優先度を持ちます。また、サービスタグを使用して、特定のAzureサービスへのトラフィックを許可または拒否することもできます。
真偽問題
AzureのNSGを使用すると、特定のAzureサービス(例: Azure Load Balancer)に対するトラフィックを制御するためにサービスタグを使用できます。
解答: はい
解説: AzureのNSGでは、サービスタグを使用して特定のAzureサービスへのトラフィックを制御できます。この機能を利用することで、より効果的にネットワークのセキュリティを管理し、特定のサービスへのアクセスを許可または拒否することができます。
いい感じです。例えば、クイズを作ってもらう時に「入力内容に対し、クイズを8個作ってください」などと個数を指定すると、ちゃんとその数だけ問題を作ってくれます。
作ったクイズをAnkiに登録して何度も復習する
あとは、作ってもらったクイズをAnkiに登録するだけです。
- Ankiweb、またはAnkiアプリを開く。
- デッキを作成する。Ankiwebでは「Create Deck」、アプリでは「追加/エクスポート」→「新しいデッキを作る」をタップ。
- デッキの名前を決める。例えば、「AZ-104試験対策」など。
- カード(問題と回答のセット)を作る。Ankiwebでは「Add」、アプリでは「追加」をクリック。
- 「表面」に問題、「裏面」に回答を入力して追加。
- 何度も繰り返し解く!
まとめ
AnkiとChatGPTを組み合わせることにより、「わからないことを解説してもらう→それをもとにクイズを作る→効率的に復習する」ことができるようになります。生成AIの力を知識に変えていきましょう。
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